【#165】睡眠の新常識
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知っておきたい睡眠負債
Q.寝だめで睡眠負債は防げる?
A.NO。睡眠は“貯金”できません
睡眠負債とは、睡眠不足が数日から数週間単位で続き、慢性化した状態を指します。何らかの理由で1日だけ睡眠時間がいつもより2時間短くなってしまった、という場合は睡眠負債とはいいません。
平日はどうしても睡眠不足になりがちなので、休日はたっぷり寝るようにしている人は少なくないかもしれませんが、それは睡眠負債という借金の一部を返済しているのであって、睡眠は“貯金”できるものではないのです。理想的には、週末も含めなるべく規則正しい十分な睡眠をとり、負債を抱えないことが大切です。
Q.睡眠負債がダイエットの敵というのは本当?
A.YES。寝る子は育つ。寝ない大人は横に育つ
「寝る子は育つ」といわれるように、深睡眠中に分泌される成長ホルモンは子供の成長に大きく影響しています。一方で、大人の場合は「寝ないほど太りやすい」といえます。睡眠負債が多い人ほど太りやすい傾向にあるためです。
睡眠不足の人は、十分な睡眠を取っている人に比べて、レプチンという食欲抑制ホルモンが減って、グレリンという食欲増進ホルモンが増加することなどにより、甘いものや高脂質のものなど体重を増加させる嗜好しこう性の高い食品を多く摂取する傾向があることが、世界各地で行われている大規模調査や研究で報告されています。
肥満でない健康な男性に、2週間の間、1日4時間睡眠と9時間睡眠をランダムに経験してもらい、エネルギー摂取量や消費量、体重の影響を調べました。米国の研究によると参加者は、4時間睡眠期間に1日約300kcal多く摂取していました。また、9時間睡眠期間と比べて腹部の総脂肪面積が9%、内臓脂肪が11%増加したという結果でした。
睡眠負債が多いと日中の疲労感が強くなり、運動量が減ることも肥満につながります。内臓肥満に高血圧や高血糖、脂質代謝異常が組み合わされたメタボリック症候群のリスクも高くなるので注意が必要です。
ベストな睡眠時間、正しく把握できている?
Q.短時間でも熟睡できれば睡眠負債にはならない?
A.NO。「質より量」が睡眠の大原則です
OECD(経済協力開発機構)が2021年に発表した各国の平均睡眠時間の比較では、日本人の平均睡眠時間は7時間22分と、先進国を中心とした世界33カ国の中で最も短いことが分かりました。
睡眠時間がとかく短い傾向にある現代の日本社会では睡眠の量より質を重視しがちですが、十分な量が取れない状態で睡眠の質を論ずることはナンセンスといえます。まず一日の中でしっかりと睡眠時間を確保することが大切です。
Q.必要な睡眠時間は人それぞれ違うもの?
A.YES。自分に必要な睡眠時間を知りましょう
自分にとって必要十分な睡眠時間が取れていると、目覚ましのアラームが鳴る前に自然と起きられるようになります。睡眠が足りていれば、人のからだはそれ以上眠ることができないようになっているためです。
自分に必要な睡眠時間を知る方法として次の二つがあります。
1)大型連休の時など、3~4日間続けて、毎晩眠れるだけ眠ります。その際、就寝および起床時間を記録しておきましょう。3晩目、4晩目になると、それ以上眠ろうとしても自然に目覚めて眠れなくなります。この時の睡眠時間がベストタイムといえます。
2)休日(土日)は平日よりも多めに睡眠時間を取っている場合は、休日も平日と同じ就寝および起床時間で過ごすことから始めます。それでも日中に眠気が起こるなどつらさを感じるなら、少なくとも数日にわたって30分就寝時間を早めます。それで体調が良くなるなど改善が見られたら、さらに数日にわたって30分早めてみます。
そのようにして、あくまでも休日も同じ起床時刻を保ちつつ、毎晩の就寝時間を30分ずつ早めてみましょう。そのうちに目覚まし時計が鳴る前にすっきり起きられる日が必ずやってきます。睡眠負債を自覚している人には特に、“だまされたと思って”試してほしい方法です。
Q.昼寝はしないほうが良いの?
A.NO。午後2時ごろまで、20分程度の仮眠ならOKです
睡眠には「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」によるサイクルがあり、眠る時はまずノンレム睡眠から入ります。
ノンレム睡眠はステージ1から3までの3段階に分けられ、ステージ1と2は比較的浅い睡眠、ステージ3は深睡眠と呼ばれる深い睡眠になります。昼寝をする場合は、ノンレム睡眠のステージ2に当たる中間的な深さのタイミングで起きるのがポイントです。
ステージ3の深睡眠に入ってから起きると逆に眠気が強くなる恐れがありますが、ステージ2の段階なら疲労感が軽減され、リフレッシュ効果が期待できます。その時間の目安が20分です。また、午後2時以降の昼寝は夜間の睡眠の妨げになるので避けましょう。
なお、仕事から帰宅した後など、疲れているために短い仮眠を取ってからまた起きて活動し、その後就寝するというケースも少なくないようです。こうした夕方以降の仮眠も、夜間の本格的な睡眠を妨げる要因となり、眠れなくなって本末転倒となりかねません。疲れて眠くても、いつもの就寝時刻まではなるべく我慢して、一定の睡眠時間を保ちましょう。
睡眠の質って何?
Q.就寝前にスマートフォンを見ると、睡眠の質は悪くなるの?
A.NO。インタラクティブ(双方向)な操作をしなければOKです
スマートフォンの液晶画面から放射されるブルーライトが目に入ると、その刺激で睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌が抑制されることから、就寝前の使用は避けたほうが良いといわれてきました。
しかし、近年は夜間になるとブルーライトを減少させる機能が多くのスマートフォンに搭載されており、見るだけなら睡眠への影響についてそれほど心配ありません。ただし、SNSでのやりとりや動画へのアクション、ゲームなどのインタラクティブ(双方向)な操作は脳に覚醒作用をもたらし、眠りに入りにくくなるので控えましょう。
「この記事を読むと眠くなる」「この動画を眺めるのが就寝の儀式になっている」など、眠りに入る条件付けになるような使い方を身につけるのも一考です。
Q.よく眠れている=睡眠の質が高い、と考えていいの?
A.NO。眠れていると思っても、実は眠れていないことも、その逆もあります
健康の三大要素である食事、運動、睡眠のうち、食事と運動は自分で意識してコントロールできますが、睡眠はそうではありません。主観的には「熟睡できた」「疲れが取れた」と感じても、客観的な評価とは一致しないケースも多くあります。
自分ではぐっすり寝ているつもりでも、客観的に測定すると、睡眠中に細かい中途覚醒を繰り返していて実は眠れていないケースや、反対によく眠れないと悩んでいても、実は深いノンレム睡眠とレム睡眠を安定的に繰り返しているケースがあります。
近年は、眠っている間に呼吸が弱くなったり止まったりする「睡眠時無呼吸症候群」に該当する日本人が増加傾向にあり、中等度以上では900万人、軽症も含めると2200万人にのぼるという推計もあります。
睡眠時無呼吸症候群は自覚症状がない場合も多く、治療して初めて実は眠れていなかったことに気が付くケースも少なくありません。
昨今では、自分の睡眠状態を把握できる、スマートフォンのアプリも普及していますが、最近はこれまで医療機関でしか測定できなかった睡眠時の脳波を自宅で計測できる「睡眠計測サービス」への注目度も高まっています。そのようなニーズから、在宅で自分の睡眠状態を詳細に把握できるようにしたいと考え、睡眠計測機器を開発し(S'UIMIN社の「InSomnograf」)、自分の睡眠を客観的に理解することで最適な睡眠改善方法を見つけることが可能となりました。健康経営の一環として導入する企業も増えているようです。
自分の睡眠を“見える化”すると、睡眠に対する意識が変わり、それが睡眠の改善につながります。睡眠負債の解消への一歩として、自分の睡眠を見直してみましょう。